日向坂46メンバーのキャッチコピーについて

 

 前々からアイドルのキャッチコピーがおもしろいなと思っていた。こういう分類ができるなとか、こういう意図や効果があるのかなとかを考えていたので、今回は日向坂46メンバーのそれを題材にとっていろいろ書いてみる。キャッチコピーなんて本当に初期の頃しか使わないもので、そのアイドルの本質を表していないじゃないかという意見はある意味その通りだと思う。だからこそ、まだアイドル本人もファンも周囲の人も「その人らしさ」をわかっていない段階で押し出される特質的な要素について考えることで、何が「アイドルらしさ」とされているのかが少しわかるのではないかと思っているのである。

 今回は冠番組のひらがな推し/日向坂で会いましょう初出演時に披露したキャッチコピーに準拠する。リストは以下の通り。

 

  • 井口眞緒「あなたは私を好きにな~る♪」
  • 潮紗理菜「トゥリマカシートゥリマカシーサリマカシー!! 全く眠れなさそうな子守唄歌えます!潮紗理菜です!」
  • 柿崎芽美「けやき坂46のフランス人形」
  • 影山優佳「サッカー大好き少女」
  • 加藤史帆「優し 可愛し かとし こと加藤史帆です」
  • 齊藤京子「ラーメン大好き齊藤京子です!」
  • 佐々木久美「グミが好きな久美」
  • 佐々木美玲「あんぱん しょくぱん みーぱん♪」
  • 高瀬愛奈けやき坂46のグローバル少女 高瀬愛奈です!」
  • 高本彩花「あなたのハートを射抜けたらいいなぁ・・・高本彩花です」
  • 東村芽衣奈良県から来たマイペース代表 東村芽衣です」
  • 金村美玖「みんなみくをお寿司かない!!」
  • 河田陽菜「石橋をたたいて割っちゃう河田陽菜です」
  • 小坂菜緒「大阪 小坂 けやき坂 3本坂を全力で駆け上ります!」
  • 富田鈴花「胎児の時からワチキはパリピ(ラップ調で)」
  • 丹生明里「弱いけど剣道三段持ってます! 肩幅広い丹生明里です!」
  • 濱岸ひより「高身長 最年少 中学3年生 15歳 濱岸ひよりです」
  • 松田好花「納豆大好き!松田好花です」
  • 宮田愛萌「みなさんのハートを”もえ”させる和風娘」
  • 渡邉美穂「埼玉が生んだ怒涛の起爆剤
  • 上村ひなの「いつでもどこでも変化球 ひなのなの」
  • 髙橋未来虹「日向坂の未来に虹をかけます」
  • 森本茉莉「もーっともーっともりもっと、幸せもーっともりもっと」
  • 山口陽世「ぷぅ~、ぱる。砂丘の中からこんにちは。山口陽世です」

 

 どのメンバーもキャッチコピーを考える上で多かれ少なかれ家族、友人、メンバーに相談していると個人的には考えているが、「他者に考えてもらった」と明言しているのは加藤史帆の「やさし かわいし かとしこと加藤史帆です」だけであり、その点には留保して扱っていく。

 また、上記にあげたもの以外のキャッチコピーを持つメンバーも多く、例えば影山優佳には「あなたのハートにゲーゲンプレス」というキャッチコピーがある。これは約2年間活動を休んでいた影山優佳が復帰後から使い始めたもので、回数としてはこちらの方が断然多い。他にも上記以外のものを扱う際にはその都度言及していく。

 

 まずは1, 2, 3期生のキャッチコピーに含まれる要素を分類し、それぞれの特徴などを見ていく。その上で9月に加入した4期生のキャッチコピーを一人ずつ分析し、最後にまとめのよう何かを書いてみる。

 

 

1,2,3期生のキャッチコピー分類

 

①名前

 自分の名前・あだ名を入れているもので、これが1番わかりやすい。ただし、フルネームは全員名乗るので、その前のフレーズに含まれているかが大事になる。例を挙げると「みんなみくをお寿司かない!」「大阪、小坂、けやき坂、3本坂を全力で駆け上がります」「トゥリマカシー、トゥリマカシー、サリマカシー」「優し 可愛し かとし こと加藤史帆です」「あんぱん しょくぱん みーぱん」などがある。最初の2人はそれぞれ名字と下の名前をそのまま使っており、後の3人はあだ名を入れている。あだ名を入れている3人はその後定着しており、すでに確立されたあだ名がある人はこれが手っ取り早いかもしれない。


②出身地

 出身地を入れるもの。「大阪小坂けやき坂 3本坂を全力で駆け上がります」「奈良県から来たマイペース代表」など、非首都圏出身のメンバーがこれを入れるのが多いなか、渡邉美穂は「埼玉が生んだ怒涛の起爆剤」と埼玉出身であることをアピールしており珍しいパターン。実は埼玉県は県として番組で取り上げられることも多く、そのような番組に「埼玉出身」タレントとして出演することもあったし、同じく埼玉出身の金村、丹生と「埼玉3人組」と呼ばれてもいたので、渡邉の試みは成功しているだろう。また直接出身地名を入れるのではなく、「ぷぅ~、ぱる。砂丘の中からこんにちは。山口陽世です」のように土地の名所を挙げるパターンや、神奈川生まれで幼少期インドネシアに住んでいた潮紗理菜の「トゥリマカシートゥリマカシーサリマカシー!! 全く眠れなさそうな子守唄歌えます!」のように言語でゆかりの土地を示すパターンもある。

 

③特技・趣味

 「あなたのハートを射抜けたらいいなあ・・・」「弱いけど剣道3段持ってます」「トゥリマカシートゥリマカシーサリマカシー!! 全く眠れなさそうな子守唄歌えます!」「サッカー大好き少女」「あなたのハートにゲーゲンプレス」などがこれにあたる。部活や習い事でやっていたことに言及するパターンや、その場で披露できるちょっと珍しい技のようなもの(潮によるインドネシア語の子守唄)のパターンがある。影山優佳の「ゲーゲンプレス」(サッカーの戦術の一つ)は、彼女が得意というより、このような専門知識を知っているくらいサッカーが好きだというアピールである。

 

④好きな食べ物

 意外と多いパターンで、「ラーメン大好き齊藤京子です」「納豆大好き松田好花です」「グミが好きな久美」「あんぱん しょくぱん みーぱん」などがある。久美のグミ以外はその後の活動にもちゃんと生きており、齊藤京子佐々木美玲はそれぞれラーメンとパンを食べる番組までやっていた。とても安直に思えるし、ラーメンやパンはジャンルとしてメジャーすぎる気もするが、かなり役立っているみたいだ。

 

⑤チャームポイント

 次の⑥との対比で、主に外見の面での特徴を入れるパターン。「高身長 最年少 中学3年生 15歳 濱岸ひよりです」「肩幅広い丹生明里です」がこれにあたる。「優し 可愛し かとし こと加藤史帆です」もそうだろうか。これら以外にも「笑顔」などはここに分類することができるだろう。意外というべきか、チャームポイントを含んでいるキャッチコピーは少なく、これについては後で言及する。


⑥性格

 これが分類の中で1番曖昧で微妙なもの。⑤との対比で内面の特徴を表す。「奈良県から来たマイペース代表」「胎児の時からワチキはパリピ」「石橋をたたいて割っちゃう河田陽菜です」などが当てはまるが、他のどのキャッチコピーにも性格が滲んでいると言われればそうなので、主観によるものが大きいかもしれない。一応の基準としては、言い方や語尾ではなく単語が入っているかどうか。

 

 

 ちなみにここまでキャッチコピーに含まれるソフト面の要素について分類してきたが、ソフト面の伝え方であるハード面で最も多いのは、自らの特徴をシンプルに叙述したもの。あとは呼びかけ/コールアンアンドレスポンス系がある。とくに「あんぱん しょくぱん みーぱん♪」などはファンの掛け声と手拍子によって成り立つ部分があり、このやうならギミックを入れているパターンもある。「あなたは私を好きにな~る♪」のような催眠術系は呼びかけ系の亜種だと言えるだろう。

 

 また、「もーっともーっともりもっと、幸せもーっともりもっと」に関しては①名前が含まれている以外は分類のしようがなく、どうしていいかわからない。「私と居れば幸せになれる」ということなのか、だとしてもそれは森本の(ファンを幸せにするような)内面を表しているのか、彼女の(ファンを幸せにしていく)姿勢を表しているのか、判断がつかない。

 

 

4期生のキャッチコピーの分析


 ここまで1, 2, 3期生のキャッチコピーに含まれる要素を分類してきた上で、この分類に基づいて最近日向坂に加入した4期生のキャッチコピーを見ていく。

 


石塚瑶季「たまき!元気!ノーテンキ!」

 使われている要素は①と⑥。名前と性格をシンプルに押し出しており、覚えやすいわかりやすい。元ネタというかみんなが連想するのは井脇ノブ子の「やる気 元気 井脇」で、乃木坂46五期生の五百城茉央のキャッチコピーもこれにかけた「やる気 元気 いおき」なので、かなり汎用性の高いフォーマットなのだろう。「元気」と「ノーテンキ」はかぶっている範囲も広いが完全に一致しているわけではないので、この二つが並んでいることで解像度が上がる面もある。


岸帆夏「私と一緒にほのぼのしましょ 岸ほのぼのほのかです」

 「ほのぼの」というワードに名前①と性格⑥を込めており、かなりキャッチー。ひなあいではキャッチコピーそのものよりも披露時の緊張具合に目が行ったが、覚えやすいしかなりいいキャッチコピーだと思う。

 

西夏菜実「落ち込んだときは524-773(こにしななみ)におかけください」

 名前①を数字に置き換えているのだが、発想が独特。同級生から524773と呼ばれて嫌だったらしいが、あえてそれをキャッチコピーに採用。落ち込んだときは電話を、と言っているが特に癒しキャラみたいなのを志向しているわけではなさそう。ただ初見でかなりのインパクトがあるのは間違いない。


清水理央「みんなを照らすおひさまスマイル」

 とてもベタな内容がゆえに分類しにくいが、あえてするならチャームポイント⑤に当たるだろう。考えすぎて何周も何周もした結果奇妙な個性が滲み出ている他メンバーのキャッチコピーとは違って、驚くほど捻りがない。でも逆にそれが他にはない「王道」感を醸し出しており、笑顔と明るい太陽という日向坂全体のコンセプトど真ん中を通ることこそがむしろ他との差別化になっている。

 

正源司陽子「チョコ好き、バレンタインデー生まれの正源司陽子です!」

④の好きな食べ物パターンだが、その後に来る「バレンタイン生まれ」を導くための「チョコ好き」宣言感が強く、印象には残りにくいか。この「バレンタイン生まれ」も分類がしにくい。

 

竹内希来里「あなたの元にきらりんT細胞」

 名前①はまずわかるが、パンデミックが起き、やれワクチンだのやれ免疫だのを耳にする機会が多いこのご時世に「キラーT細胞」にかけたキャッチコピーをもってくるセンスよ。T細胞がやってくるということはこちらがウイルス扱いされてる気もするが。しかしきらりん→キラーT細胞はやや飛躍しすぎだと思うし、T細胞とウイルスの関係がアイドルとファンの関係の類推として成立しているとも思えないので、考えれば考えるほどよくわからないキャッチコピーである。

 

平岡海月「福井県から漂流してきました 福井県産クラゲ」

 名前①と出身地②を組み合わせたキャッチコピー。出身地の表現で「福井県からやってきました」ではなくクラゲから連想した「漂流」というワードをチョイスしているのがオフビートなで良い。ただ、後半にも「福井県産」と入れるなら、前半は「日本海から漂流してきました」とかのほうが良かったかもしれない。あと、福井県から東京まで漂流するってめちゃくちゃ大変じゃないか?もしかしたらここで言ってる漂流先は特定の場所というよりは「あなたの元に漂流してきました」的なものなのかもしれない。

 

平尾帆夏「鳥取砂丘から、おひさまに向かって〜ひら砲!!」

 出身地②と名前①が入っている。山口陽世と鳥取出身でかぶり、名字の「平」で平岡海月とかぶり、下の名前の「帆夏」で岸帆夏とかぶっているなかで、名字と名前を縮めた「ひらほ」と組み合わせたキャッチーなワード「ひら砲」を作ってきたのはすごい。ジェスチャーもわかりやすいし、「おひさま」の部分を都市名に変えればライブの煽りでも使えそうだし。声出し可能になれば「ひら砲」の部分をファンが一緒に言うこともできるだろう。平尾はかなりクレバーだと思われる。


藤嶌果歩「のんびり北からかほりん降臨ー!!」

4文字ずつ区切られた声に出して読みやすいキャッチコピーながら、あだ名①、出身地②、性格⑥が詰まっている上に韻まで踏んでいて完成度高し。とくに降臨と韻をふんだあだ名「かほりん」はかなり印象に残りやすいし呼びやすいので、これから確実に定着すると思う。

 

宮地すみれ「スマイル、スマイル・・・スミレ!すみれの虜になっちゃった!」

名前①すみれ(Smile)と日向坂的なイメージのスマイル(笑顔)⑤をかけたキャッチコピー。これを初めて聞いて名前とスマイルの綴りがかかってることに気づける人は少ないだろうが、スマイルが日向坂らしいイメージを持っており単体で成立しているので問題ないだろう。催眠術っぽいフォーマットに関しては井口眞緒のキャッチコピーを彷彿とさせる(宮地の方がクォリティは高い)。

 

山下葉留花「シャチホコに乗って会いに来ました!」

 愛知県出身であること②が含まれているだけのシンプルなキャッチコピー。「日向坂で会いましょう」の番組名も意識しているのかも。他のメンバーがキャッチコピーを練ってきてるなか、やや影は薄いか。

 

渡辺莉奈「莉奈のこと推して良かろうもん!」

名前①と出身地②が入ったキャッチコピーで、自分への「推し」を促すのは金村美玖ぽい。最年少メンバーながらそのことに触れていない。また、地方出身のメンバーの中でも方言を取り入れているのは珍しいので、そこでの違いはあるだろう。

 

 

まとめ

 ここまで見てきて、言及したいことが二つある。

 一つ目は、自らの外見に言及したもの(分類で言うと⑤のチャームポイント)がイメージよりも少ないということだ。分類の⑤の項目で挙げた3人に加え、4期生の清水と宮地が「笑顔/スマイル」を入れているくらいだ。しかし、「高身長」も「肩幅広い」もいわゆる美醜の価値判断のど真ん中にあるものではない。また、笑顔は外見上の特徴であると同時に「明るい内面」を表していもいるため、ハッキリと外見上の特徴と言い切ることはできない。そのなかで、「優し 可愛し かとし」は美醜の価値判断に乗っかっていると言われるかもしれないが、これは加藤本人が考えたものではないと明言されている(紹介時に加藤は自分のキャッチコピーを聞くのを嫌がっている)。

 この世界でアイドルという職業をしている以上、彼女たちはどうしても「目の大きさ」「鼻の高さ」といった美醜の価値判断に巻き込まれてしまうし、実際「チャームポイントは何ですか」と聞かれたときにはそれぞれ何かしらを答えている。しかし、彼女たちはそれをキャッチコピーを用いて「自分から」は言い出さないのである。実質的にそのようなアピールが文化として求められているにもかかわらず、自主規制なのか暗黙のルールからなのか、主体的にそれらを言い出すことはほとんどない。この矛盾、ダブルスタンダードのようなものはとても興味深いと思う。

 二つ目は、「アイドルは自らの"弱み"をも"武器"にする職業である」と考えられている節がありそうという点だ。「肩幅広い丹生明里です」「524-773におかけください」などは、ここで挙げられている要素を本人が好きではないと明言している。にも関わらずキャッチコピーとして採用されているのは、自分の好き嫌いに関わらない「特徴」が求められていると彼女たちが感じているからだろう。

 齊藤京子は「ラーメン大好き」と最後まで迷ったキャッチコピーの候補として「今日も京子に強烈興味津々」があったと語っている。正直、こちらの方がキャッチコピーとしての完成度は高いと思うのだが、あえて「ラーメン大好き」という「アイドルらしくない(と見なされやすい)」方向を選んだのである。これも、彼女たちがそれだけ他者との違いを重視していることがわかる。

 

 最後にここまでを振り返ってきて感じるのは、これだけ他者との違いを重視しているのにも関わらず、彼女たちのキャッチコピーの内容は共通するところが多いということだ。まだ自分でも自分のことを十全に理解していない人間(10代後半で自分のことをきちんと理解している人なんてほとんどいない)が短い言葉で自分を表そうとして同じような出来になるのは当然だろう。しかし、そのなかでもアイドルのキャッチコピーの型からはみ出ようとしていたり、コードに沿っていないものはある。似通った要素を分け入って進んだ先に、どうにも分類できない"揺らぎ"が見える。結局、最初に書いたような「アイドルらしさ」はほとんど解明できなかったけど、このような"揺らぎ"を持つ、「似てるようで全然似てない」キャッチコピーを見るのはとても楽しいので、これからも注目していきたい。

 

 

 

2022年ベスト本

 

 2022年に読んでおもしろかった本を紹介します。ツイッターではほとんど感想を書いてないけど、今年は71冊読みました。あくまで自分が今年読んだ本なので、新刊も10年前の本も混ざっています。順番は読んだ順です。

 

『ワン・プラス・ワン』ジョジョモイーズ小学館

 ご都合主義かもしれないけど、作品に込められた愛や希望や親切に心底感動したYA小説。普段は「無理やりハッピーエンドにしなくていい」だの「これはトキシック・ポジティビティだ」だの言ってるけど、なんだかんだすべてが丸く収まって善人が幸せに物語を自分も求めているんだなあ。

 

ブロークバック・マウンテンアニー・プルー集英社文庫

 これを原作とするアン・リー監督の映画が大好きなのだが、初めて読んでめちゃくちゃおもしろかった。映画と小説、どちらも共通するところと違うところがあり、どちらも死ぬほどいい。当たり前かもだけど、そのことになんか感動した。

 

『失われた賃金を求めて』イ・ミンギョン、タバブックス

 お金の側面から韓国社会の(ひいてはこの世界の)性差別について語りつくす本。フェミニズムについての入門書を読んだ後の「2冊目」という感じ。

 

『アイドルについて葛藤しながら考えてみた』香月孝史、上岡磨奈、中村香住編著、青弓社

 今年になって日向坂46というアイドルが好きになった自分にとってクリティカルな一冊だった。アイドルの現在地について、今後の可能性について、とにかくいろんな人に薦めたいし、この本に書いている内容についてたくさん語り合いたい。

 

『推し、燃ゆ』宇佐美りん、河出書房新社

 「推し文化」の内実をその外側の人たちにもわかるように書きました、ってな作品ではなく、いわゆる「ちゃんと」生活するのが難しい人が寄りかかる先としての「推し文化」を描いていると思った。端的に言うと「推し文化」における依存の側面を。

 

『ポースケ』

 津村記久子が書く小説の登場人物はみんな人生の世知辛さをこれでもかと背負い込みつつ、何とか世知辛さを変革できないか、どうにか向き合うことができなかともがいている。それらが生活としっかり結びついているので、どこまでもリアルで確かに感じられる。

 

『約束された移動』小川洋子河出書房新社

 とてつもなく静かな筆致とウィアードなストーリーの取り合わせがすごく心地よかった。

 

『神様のケーキを頬張るまで』彩瀬まる、光文社文庫

 錦糸町の雑居ビルにまつわる人々の人生を描いた連作短編集。息詰まるような日常の苦しさのなかでもがきながら生きる人たちのもとにある日もたらされる救いがすごく身に染みる。全ての作品に登場する架空の映画は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか『ブラック・スワン』がモデルだと思うんだけど、どうだろうか。

 

間宮兄弟江國香織小学館文庫

 「今年出会った作家」を挙げるなら江國香織と上述の津村記久子になるだろう。江國香織は5冊読んでどれも好きだったけど、これがとくにおもしろかった。結婚もせず兄弟2人で満ち足りた生活を送る中年男性の話で、まず男性同士のケアの点からおもしろい。そしてそんな彼らにも非モテ的なミソジニーがあるのだが、女性の視点も入っていることでちゃんと相対化されており、この作品で描かれている男性性はかなり今にも通用するものだと思う。江國香織らしい超然としつつも登場人物に同情を注ぐような文体もあって、今年一冊ベストを選ぶならこれかもしれない。

 

フェミニズムってなんですか?』清水晶子、文春新書

 Vogueでのフェミニズムについての入門的な連載をまとめた本。内容的にはウェブで読んでいたものが多かったけど、基本中の基本を丁寧に書いてくれているので何度読んでも良い。

VOGUEと学ぶフェミニズム | Vogue Japan

 

『新しい声を聞くぼくたち』河野真太郎、講談社

 ポストフェミニズム新自由主義社会における男性性のあり方について書かれた本。著者の前作『戦う姫、働く少女』と同様、多数の映画、漫画、アニメなどを参照した男性性を読み解きは頷くことばかりで、とくに男性性と障害のかかわりはとても興味深かった。

 

 

 ちなみに上にあげたうち江國香織、彩瀬まる、小川洋子は日向坂46宮田愛萌のレコメンドによるもので、自分が知らない面白い本をたくさん教えてもらって本当に頭が上がらない。

 

 

2022年映画ベスト10

 

 ツイッターの方ではちょくちょく言っていたのだが、今年は環境の変化があったりして去年よりも鑑賞本数がグッと減った。数えてみたら映画館で観たのは27本で、配信やオンライン試写も含めた新作映画の鑑賞本数は70本だった。ということでかなり寂しい気もするけど、ちゃんと好きな映画を10本選んだので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

①エルヴィス

 ギラギラ外連味たっぷりに、何なら過剰に描かれるひとりのスター/アイドルの人生を通して、「依存」というテーマを「円環」のモチーフで掘り下げている。「依存」のレイヤーがいくつかあるなか、ファンとミュージシャンの関係にも触れていて、そのあたりが自分感じていたこととも重なった。

nakiusagi.hatenablog.com

 

②カモン カモン

 子どもと触れ合いながら「『まとも』に生きる」とは何かを模索する大人の話なのだが、「人間嫌いの中年男が天真爛漫な子どもとの交流で成長する」みたいな話なってないところがすごくいい。c’mon c’monという合言葉がトキシックポジティビティとして発せられるのではなく、地に足ついた意味合いを帯びるところも素晴らしい。

 

③ファイアー・アイランド

 「ゲイのディズニーランド」を舞台にした「高慢と偏見」の翻案ラブコメ。キャラ設定から小道具の使い方まで原作のツボを完ぺきに抑えつつ、「家族」の読み替え、インターセクショナリティの表現などといった再解釈が機能しており最高。ロマコメオールタイムベスト級です。

 

④スティルウォーター

 父性神話でくるまれた「異国の地で娘の冤罪を証明する」ストーリーのもつ政治性をすごくシビアに解体する。政治はそれに何の興味もない人の身にも降りかかってくるし、そういう人が知らず知らずのうちに何かを「担ってしまってる」ことがあり、そういう状況を描いている点でとても政治的。

 

⑤私ときどきレッサーパンダ

 ポップなアニメーションで表現される生々しくて個人的な欲求と葛藤が、縦と横に広がって普遍的な家族と共同体のテーマに接続されるさまが見事。個人的にはアイドル文化の描写———ライブの体験があたかも宗教的体験かのように描かれ、そこから血縁コミュニティの儀式へとつながる描写がめちゃくちゃ好きだった。

 

⑥13人の命

 立場や生活が異なる人々の群像劇として、暗くて狭い水の中を進むサスペンス/スリラーとしてとても面白かった。それぞれの人物が抱える背景にしっかり手触りがあって、鑑賞後でもしっかりと腹に残る演出がとてもいい。ダイバーチームがホモソーシャルな集団ではなく、互いへのリスペクトがあり、感情を共有し合える仲間なのが見ていて心地よかった。

 

西部戦線異状なし

 徹底して抑制された演出と絵画的なショットの連続で戦争の非人間性塹壕戦の過酷さを描き出していてすさまじかった。撮影が『1917』で内容が『彼らは生きていた』の趣。変わったことはしてないけど、ひたすらシンプルに戦争がもたらす地獄が伝わってくる。

 

⑧声もなく

 身体障害や貧富による教育格差など、登場人物間の権力関係の複雑さを「誘拐」のモチーフによって「家族」の枠に入れ、そのことによって「家族」そのものをズラしてグロテスクな内実を暴く。レイヤーがいくつもあって、視点によって見え方がガラッと変わる、一筋縄ではいかない映画。

 

⑨コーダ あいのうた

 愛、成長、希望、主人公に託されたものすごく純朴で暖かい感情が、変化とともに歌に現れ、歌唱によって物語が形作られていく。ルビーとマイルズの関係も絶妙で、丁寧に描かれていながら「それがすべて」という感じになっておらず、さっぱりとした後味なのがすごく良い。

 

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

 3部作及びスパイダーマンシリーズの集大成としてこれ以上ないほどやさしく厳しい、胸にしみる作品だった。マルチバースによってスパイダーマンのキャラとしての「宿命」に向き合わざるを得なくなるなか、その克服と葛藤が温かいシンパシーとエンパシーを伴って描かれるのに感動した。

 

 

 こうやって振り返ると、映画を観るうえで日向坂46のことを好きになった影響が大きいなと感じた。あと、ベスト10のうちブログで感想記事を書いているのがエルヴィスだけだったので、来年はもっと書きたいです。

 

 

【12/18-24】「日向坂に入ってよかったかもしれない」〜日向坂46ダイアリー#25

 

 12月18日から24日に日向坂46が出演した番組などの感想です

 

 

はじめ(紅白の『キツネ』について)

 

 22日に紅白歌合戦の曲目が発表され、日向坂46は『キツネ』を披露することが決まった。個人的には『月と星が踊るMidnight』推しだったけども、話題性なども考えると今年リリースのシングルは厳しいかなと思ってたなかで、にしても斜め上のチョイスに思えて驚いた。今年の紅白は日本ハムファイターズのチアダンサーによるキツネダンスそれとコラボした曲もあるようなので、嫌な言い方かもだけど、これ(流行り物や他の歌手との企画モノ)が今の日向坂の立場なんだろうな。来年こそはファンからも世間からも評価された曲をキッチリ歌いたいね。

 とはいえ本番はまだなので、上に書いたような演出になるのかはまだわからない。違う見方をすると、日向坂ライブ定番で3年前のカップリング曲を紅白で披露できるのはなかなか貴重かもしれない。これで「日向坂こういう引き出しあるのね」と思ってくれる人がいれば最高。

 

 

『ひなクリ2022』(12/18)

 

 グループとしてはひらがなけやき時代から5年連続となるクリスマスライブ。最後には卒業する宮田愛萌の挨拶もあった。
 相変わらずというか、セットリストに新鮮味があまりないのをどうしていくべきか。とはいえ、表題曲、ライブ定番曲、ユニット/期別曲、最新シングル収録曲といったカテゴリ辺tに観ていくと削れるような曲もほとんどないので悩ましい。個人的にはHEY OHISAMAがとてもよかったので、役割的にかぶりそうな君しか勝たんの頻度を下げたらどうかとか、キツネを準レギュラーに降格させたらとかは思うけど。
 秋のツアーから参加している4期生がMCで話を振られ、その場にいれることや先輩やスタッフ、ファンへの感謝を述べるのはとてもいいことだと思うんだけど、正直聞きたいのはその一歩向こうにある少し下らない話(リハでこんな失敗をした、ケータリングこれがおいしかった)なので、なんかもどかしい。
 宮田愛萌のあいさつでは、すごく自然に井口眞緒と柿崎芽美に触れていたのが印象的で、それだけで一気にあの場の風通しのようなものがよくなって「これで終わりじゃないんだ」と思えたので、宮田はすごい。「最後やり残したことない?」と聞かれて、衣装を見せるために一回転するシーンが印象的で、卒業発表以来なかなかファンの前に立つ機会がなかった彼女にとって、自分がしっかりとこだわった衣装を見せることが大切な自己表現なのかなと思うと感動した。最後の最後、舞台からはけるとき「日向坂に入ってよかったかもしれない」と言っていて、この「かもしれない」になんだか誠実さや真実味が宿っている気がした。そして、小坂菜緒をああいう感じでイジれるのって宮田愛萌だけだったんだなあしみじみ思うし、「君のため何ができるだろう」を選んだ理由が「推しのセンター曲だから」なの最高でした。

 


『日向坂で会いましょう』(12/18)

 

 

「クリスマス特別企画!妄想キュンキュン告白シチュエーション」

 4期生脚本によるシチュエーションを男役と女役に分かれた先輩メンバーが再現。今回は先輩メンバー紹介と、平尾、藤嶌作の上演。どちらの脚本もよく出来ていて普通にキュンキュンしてしまった。松田の当て書きがハマりすぎててビビる。最後松田がキャップの手を掴むところ、キャップが万引きGメンとして犯人の手を掴むところの逆転になっている。藤嶌作の方も、髙橋と山口の普段のキャラとのギャップが絶妙に生かされており、すごく良かった。

 山下葉留花の質問がなかなか度胸あるおもしろい質問だったのと、正源司のアンケートの文体が高倉健だった。

 

 

『ひなちょいseason2』(12/18)

 

 松田好花プレゼンツ「クイズを流行らせたい」の2週目。内心ノってない時に外からそれが丸わかりの齊藤京子

 

『キョコロヒー』(12/19)

 

 先日ヒコロヒーとツイッターで絡んでいた研ナオコがスタジオゲストで登場。こういう大物ゲストが来た時はあまりハマらないこともあるけど、今回はとても楽しかった。本当に年一で来てほしい。

 

 

ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』(12/23)

 

「月と星が踊るMidnight」のパフォーマンス。よかった!クリスマス仕様のキメキメ派手派手衣装だからこそカメラは引いて全体を見せる。衣装が応援ソング的な歌詞に干渉してなくて、むしろ雰囲気が合ってたな。全員キラキラしてて、多分これっきりの衣装で、なんだか「年の瀬にいいもの見せてもらいました」の満足感がある。あんまり関係ないけど紅白の『キツネ』が少し楽しみになってきた。

 

 

M-1グランプリ2022(ウエストランドと『ファイト・クラブ』、ダイヤモンドとキュウの「不自然さ」、ヨネダ2000≒チェリオの炭酸)

 

 昨日12月18日にM-1グランプリを見たのだけど、リアルタイムで見れなかったり見終わった後もバタバタしてたりで感想を文字にしてなかったのでまとめて書きます。内容はタイトル通りです。

 

 まず優勝したウエストランドの漫才について。あれは井口の語る悪口や偏見そのものではなく、ところ構わず何かに悪態をつかずにはいられない彼という人間がおもしろいのだという評も確かに頷けるし、あるなしクイズという枠がありながらゲームのルールを守ろうとしない井口の様子から彼が「間違っている」とわかるような構成になっているという指摘もその通りだと思うけど、それでもやはりあの悪口自体が及ぼす影響や、あの漫才がある種のバックラッシュに利用される/加担することを考えると手放しで褒め称えることはできない。「偏見と悪意を撒き散らす人」を戯画化した表現が優れているあまり、表現から「偏見と悪意」そのものだけを取り出しても機能してしまう状況にどう対処すべきなのか。みたいなことを考えててこれ『ファイト・クラブ』みたいな漫才だなと思った

 ウエストランドの漫才を評するときによく「『傷つけない笑い』からの決別」という文脈で語られているのを目にする。確かに彼らがそこから逸脱した笑いを起こしていたのは確かだと思う。お笑いを、漫才をしている芸人本人と自分のようなお笑いファンとの間にどのくらい感覚の違いがあるのかはっきりわからなくて、その度合いについては個人によって感じ方が変わるのだろうけど、「傷つけない笑い」がひとつの規範化しつつある(あった)のはそうだと思う。そのなかで、規範を揺り動かすような漫才が大きな笑いを生んで、評価されるのは必然だしあるべきことだとも思う。だけど、この流れが「政治的正しさ」そのものへの攻撃になったり、単なる加害欲やインセルルサンチマンの発露を批評や注釈なしに後押しすることになるととても怖い。正直、自分は来年のお笑いの流れにびくびくしている。この漫才が優勝したことによって来年のM-1運営が何を惹句とするのか、どんなお笑いが権威を持つのか。

 

 大会前はダイヤモンドとキュウの漫才にとても期待していたのだが、2組ともあまり点数が伸びなかった。今回この2組を見て感じたのは、両者とも「不自然な」漫才であるということだ。会話を繰り広げる二人の間やテンポが概ね一定で、声のトーンにも抑揚があまりない。一定のリズムでテーマに沿った言葉が並べられ、一定のツッコミ(?)が添えられていく。となると、我々はこの漫才を工的で「不自然に」感じてしまうわけだが、ここでふと、他の漫才だって十分「不自然」じゃないか?と思う。

 人は会話するときダイヤモンドやキュウみたいに一定のリズムで話すわけではないけど、かといってさや香みたいに極限まで切り詰められて気持ちよく笑えるようにチューニングされた間で会話をしているわけでもない。一見「そういうものだ」とすんなり受け入れている漫才も、隅々までめちゃくちゃ入念に手が入れられていることは想像に難くない。そういう意味で、ダイヤモンドとキュウは漫才がもつ演劇性みたいなものに意識的なのではないだろうか。ああやって「人工的な」間とテンポの漫才をすることによって、我々が普段「これが普通だ」と考えている漫才の「不自然さ」を逆照射しているというか。

 このように、ダイヤモンドとキュウは内容だけでなく形式の面からも従来の漫才を脱臼させるような試みをしていると思うのだが、それ自体が必ずしも直接的に笑いにつながるわけではないかもしれないのが難しい所だ。「ジワジワと笑えて来る」みたいなところはあるにせよ、少なくない観客が求めているであろう「何も考えずに笑える」漫才にはなりにくいのかもしれない。

 

 というところで、もう一組とてもおもしろかったのはヨネダ2000だ。ゼロ年代、あるいはテン年代らしいと言っていいのだろうか、サンプリング感覚にあふれた漫才でポップカルチャーを消化しつつひたすら耳心地が良くて、ダイヤモンドとキュウとは違って「何も考えずに笑える」漫才なのではないかと思う。

 今「何も考えずに笑える」といったばかりなのだけど、むしろ「どこがおもしろいのか考えてもよく分からない」の方が合ってるかもしれない。言語化はできないけど、見ているうちに彼女たちが笑わせたいと思ったところで笑わされている。内容自体はとにかくナンセンスで筋も必然性もないのに、そのリズムで笑っている。とても身体的に笑っている。そういう意味では、立川志らくが指摘していたようにランジャタイをほうふつとさせる。ランジャタイもその漫才の内容を説明することは実質不可能だけど、見ているうちに体ごと笑わされるような感覚に陥る。とにかくテンポとリズムが「人が笑うテンポ」と「人が笑うリズム」で徹底されているのだ(少し話はそれるが、立川志らくがヨネダ2000に対して「女の武器を使っていない」「女版ランジャタイ」といったことには怒っている。「女の武器」ってなんだ、百歩譲ってそんなものがあるとしてなんで使ってなかったら褒めの対象なんだ。というか今さっき自分で「女の武器を使ってない」って言ったくせに「女版」ってつけんなよ。女性である必然性がないネタなのに「女版」ってつけちゃうのがミソジニーなんだよ。シンプルに「ランジャタイと似てるね」で良いんだよ)。

 ヨネダ2000はチェリオの自販機に売ってる飲み物みたいな「何味かはわからないけどとにかく甘くておいしいし、炭酸強くてのど越し最高」って感じがする。そういう飲み物が好きです。

 

【12/11-17】「ハイジャンパー!」~日向坂46ダイアリー#24

 

 12月11日から17日の日向坂46出演番組の感想及び、出来事への所感です。

 

 

 

はじめ(小坂菜緒のブログ、想像と期待と落胆について)

 

 小坂菜緒が12月16日に更新したブログ『夜になるのが早くなってきて、何時になったら家の電気をつけようかと迷いに迷い、ギリギリを目指していたらいつの間にか真っ暗になってしまう。日に日に暗くなる時間が早まっていくから、もうお手上げの状態。いや、暗くてもお構いなしの私が悪いのか。』は見えるものと見えないものをめぐる‘‘想像‘‘が持ちうる暴力性について書かれていて、とてもおもしろかった。

https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/detail/46681?ima=0000&cd=member

 小坂はシェイクスピアの「期待はあらゆる苦悩のもと」-Expectation is the root of all heartache.-という言葉を引用しながら、見えているものの裏側にある見えないものについて想像することによって生まれる「期待」が、時に誰かを傷つけたり悩ませたりすることについて、とても慎重に書いている。自由な想像によって期待をふくらまし、それが達成されなくて落胆し、怒りを覚える。このような指摘は日々アイドルの活動を追いかけて、その裏側や糸をとかく想像しがちな自分のような人間にとってはとても身に覚えのあるものだ。「推し」が自らの期待通りの振る舞いをしなかったからといって直接的あるいは間接的に怒りを発露させるのは論外としても、その本質的なネガティブさは残したまま怒りを薄めて脱色した結果としての落胆や不満を、SNSなんかで表現することは誰しもあるのではないだろうか。もちろん人が想像すること自体を制限することはできないし、するべきでもないが、想像することによって生まれる感情や言葉、行動は現実の世界に影響を及ぼしうるという認識は必要だし、それに伴う責任も負うべきだろう。さらにいうと、小坂は単にこのような構図を二者間に当てはめるだけでなく、怒りや落胆が自らをも傷つけてしまうことがあるとしている。この考え方がミソジニーと結びついた「有害な男性性」にまで敷衍できそうな気がするのは、さすがに先走りすぎだろうか。
 ここでは小坂菜緒のブログについて考えたことを書いたけど、これはあくまで自分が考えたこと以上でも以下でもなくて、「小坂は本当はこう言いたいのだろう」とか「こう考えてほしいのだろう」とかを”想像”するものではない。そのような”想像”、あるいは邪推こそがこのブログで牽制されているものだろうから。

 

『GO ON! NEXT ~サーキットで会いましょう~』(12/10)


 富田鈴花出演、彼女がMCを務めるスーパーフォーミュラ番組の4回目にして最終回で、ついに鈴鹿サーキットでロケ。全4回通して彼女のきまじめさとアンテナの範囲の広さが生かされたいい番組だったと思う。また来シーズンも期待している。
 あんまり関係ないけど、すーじーが「鈴花」という名前の由来として鈴鹿サーキットに言及するとき、毎回律儀に「鈴鹿サーキットは私の名前の由来の"ひとつ"で」という言い方をするのが好き。ブログでも鈴鹿サーキットだけでない名前の由来を書いていたけど、そこをてれびてきに「わかりやすく」言いきらないところが好き。

 

『お金、大事に使ってますか?愛おしい投資術 日向坂46佐々木久美、投資学びます』(12/11)


 佐々木久美出演、投資について学ぶ番組。そもそも個人的に投資などのお金を動かす話に興味がない上、積立NISAを政府が奨励しているのとかがうさんくさすぎてなかなか話が入ってこなかった。ちょくちょく外番組で日向坂が投資をしている話をしてたからキャスティングされたところはあるのだろうし、実際キャプテンも投資をしているのだろうが、番組での立ち位置が中途半端だった。投資の解説役の人はいるし、全く投資のことを知らない人もいるので難しいのだろうが、ここは思い切ってキャプテン目線での投資について語ってほしかったなーと。

 

『日向坂で会いましょう』(12/11)

 

 「日向坂46四期生 運動能力チェック隊!!②」 
 4期生の体力チェックの2週目。相変わらずVTRで披露されたハンドボール投げや走高跳びの記録がいまいち伸びず(ロケが相当朝早そうだったので、その影響だろうか)、その点はやや盛り上がりに欠けたものの、途中途中の意気込みコメントに力が入っていたので楽しめた。平岡海月の「ハイジャンパー」は何をどう狙ってあの発言に至ったのかよくわからないものの、彼女の少し低い声とトーンとあいまってとても面白かった。何となくわかるようでやっぱりよくわからない言葉の意味もふくめて、とても気に入っている(のでタイトルにした)。山下葉留花のハンドボール投げの成績が良かった時のテロップが「英智並みの強肩」で、ちゃんと愛知出身の山下を中日の選手で例えてるの芸が細かい。正源司に関するテロップが途中からボクシング絡みばかりになったけど、たしかに名前的にボクシング漫画に出てきそう。
 先輩メンバーvs4期生のドッジボール対決で、バンバンボールを持ってバンバンあてに行く影山優佳にやや驚いたのだけど、ブログによると様々な事情があったらしく、どっちにせよもったいなかったなーと。https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/detail/46590?ima=0000&cd=member
 

『ひなちょいseason2』(12/11)


 松田好花プレゼンツ「クイズを流行らせたい」。文句なしで皆が認める日向坂のクイズ女王影山優佳不在で行われる日向坂クイズ大会。クイズの種類も「ひらがながっきょくうんどうかい」でやった逆再生クイズやそこさくでやってたアー写ドアップクイズなどでオリジナリティには欠けるものの、視聴者であるおひさまも楽しめる仕様にはなっているのでまんまと楽しかった。常日頃から他人に興味がなさそうで、勘も鈍そうな齊藤京子の成績が悪いのはさもありなん。

 

『キョコロヒー』(12/12)


 言ってみたいセリフ選手権は出演した3名ともおもしろかった。豊川七段によるおやじギャグは、近くでされたらうんざりするだろうが、このくらいの距離感で見る分には楽しかった。カラオケ店の店長さんは静止画ベースの再現がボラギノールぽかった。
 ヒコロヒーのタイムリープについての話を聞いて、「なんですかそれ?」でもなく「本当ですか?」でもなく、単に自分がその話を知らないだけという可能性を排除した上で「そういうの信じやすいタイプですか?」という豪速球の嫌味を言える齊藤京子の根拠のない自信が好き。高度な科学についての話をスピリチュアル的ななにかだと勘違いしてるのもポイント高い。
 ヒコロヒーがYouTubeの未公開トークにて日向坂46には「元カノ感」があるという話をしていて「ふむふむ、もうちょい聞こうか」となり、「なんというか、クラスの高嶺の花とかじゃなく、リビングにおる感」で「なるほどー!」と。かつてリビングでなんでもない親密な時間を過ごしたにもかかわらず今は手が届かない、要するに親近感はあるのに遠くにいるような矛盾したような感覚を呼び起こすと。そう考えるとめちゃくちゃわかる。日向坂に平行的で「プラトニック」な親しみを感じるおひさまは多くにいそうだが、にも関わらず「手が届かない」という感覚まで自ら意識している人は少なさそう。これはこれで良くない他者化や客体化を生みそうではあるが、日向坂46論としてとてもおもしろい。


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『THE TIME,』(12/13)

 

 TikTokで流行っている話を誘いこむようむにしてから、滞りなく大塚愛さくらんぼ」を披露。前に無茶振りされたテイラースウィフトはめちゃくちゃおもしろかったけど、今回は準備しすぎてて少し冷めてしまった。準備しててもいいけど準備してる感は出さないで欲しい。


『ぴーすおぶけーき』(12/13)

 

 全8話観たけど、うーんあまりおもしろくはなかった。練馬の団地を舞台にしているものの、社会的な視点や規範をひっくり返すようなところはなく、なによりもメイン3人のキャラが立ちきってないのが痛い。「おバカ」の描写としてもやたら明るい以外はとくにない。

 

『ほっとひといき』(12/16)

 

 W杯と舞台で大忙しの2人に代わって加藤史帆が代打パーソナリティを務める2週目。かとしがパーソナリティを務めた回の中で一番爆発力がないように感じたのだけど、それはコーナー多めだったからなのかなと。ハガキを読んで短いリアクションするだけだとかとしが爆発するに足る酸素が供給されないのかもしれない。思い返せば一番面白かった回は田村保乃がゲストに来て会話してたし、いつももレコメンでチャンと会話しているもんね。


『月と星が踊るMidnight発売記念ミニライブ』(12/16)

 

 8thシングルに収録されている全7曲をフルサイズ&フルメンバーでパフォーマンス。
 「HEY!OHISAMA」やっぱり曲自体はとても良いので、どうしてこんな歌詞およびタイトルに……というガッカリ感が強い。ただ今後ライブでは定番になりそうな予感もあるのでワクワクはある。「一生一度の夏」もまたライブの定番になりそう。メンバー人気も高いし、来年のケヤフェスが待たれる。
 個人的にはMCで上村ひなのが話しているのを他のメンバーが「かわいい」「かわいいねえ」とチヤホヤするなか「かわいいけどさ、味しめてない?」と混ぜっ返す加藤史帆がエポックメイキングだった。かとしはひなのにこの味を覚えさせた張本人ではないかという気もするが、ひなのはあまりこういういじり方をされてこなかったので、今後の返しを注視したい。

 


おわり(宮田愛萌卒業あいさつ、「運営」について)

 

 ひなクリ2022の18日の公演にて宮田愛萌の卒業の挨拶が行われることが3日前に発表された。自分は最初、遂にこの時が来たかくらいにしか思わなかったのだが、発表の遅さや、そもそも宮田が卒業を発表してからミーグリ以外の活動の場を与えられていないことなどに関して、運営への批判が上がっていたのを多数目にしたし、自分も素直にうなずくところが多かった。確かに卒業挨拶の有無によってチケットを獲りに行くかどうかが変わる人もいるだろうし、卒業コンサートは難しいにしてももう少し段階的に露出を減らすことはできなかったのかなど、不満はたくさんある。彼女の卒業の大きな理由の一つが体調面の問題ということで難しいところはあるのだろうが、「運営」の限界を先回りして擁護し、消費者としての要望を押さえつけるのもおかしな話だと思う。
 このようなことを書いていると、冒頭で話したような想像からの期待、そこからの落胆が誰かを傷つけてしまう可能性について考えが及んでしまい、なかなか身動きがとれない。しかも単にファン→アイドルの関係だけでなく、そこに「運営」も参加してくるからややこしい。誰か「アイドルファンと『運営』の相克」みたいな新書書いてください。

 

【12/4-10】日向坂46ダイアリー#23

 

 12月4日から10日の日向坂46が出演した番組や出来事の感想です。

 

 

はじめ(影山優佳とサッカーW杯について)

 

 影山優佳がサッカーW杯期間中に連日試合中継に出演しており、先日日本代表が敗退して一区切りということでInstagramに投稿した言葉に、さすがだなと思わされた。

 

 
 
 
 
 
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 やはりアイドルなだけあって「応援する/される」ことについての実感の伴い方には重みがある。言葉に乗せてしか想いを伝えられないファンのもどかしい心理。ときには重みになったり、励みになったり、ファンの放つ言葉が選手にいかに作用するか。複数の立場を踏まえた上での言葉選びはなかなか重層的だった。

 そして「これから」について、サッカー日本代表の活動と次のW杯への期待や目標だけでなく、まだ続く今回のW杯にも言及してるあたり、サッカー全体を伝える立場としてのバランスの取り方がさすがすぎる。単に「日本スゴイ」に偏りすぎない、あくまで「サッカー」を観る歓びが軸にある感じほんとうにすごい。この辺りの按配ができるスポーツ好きタレントって実はあまりいないから、本当にこれからもどんどん活躍の場を広げてほしい。

 

『日向坂で会いましょう』(12/4)

 

「日向坂46四期生 運動能力チェック隊!!」 

 新たに日向坂に加入した4期生の運動能力検証企画。メンバー紹介企画ですでに清水や平尾が運動神経についてフィーチャーされていたので期待が膨らむ。

 そして運動能力チェックについて触れる前に、スタジオにきくとしがいないのになんだかビックリした!2人が出演しなかった回はあるらしいが、自分の記憶の限りきくとしは常にひなあいにいたので、めちゃくちゃ新鮮な気がした。かとし欠席はまだちょくちょくあるけど、キャプテンいないのが変な感じ。しかも今回みたいな後輩フィーチャー回で、ガヤが結構大事な回で。

 けれども、きくとしがいなくてもしっかり他のメンバーが番組を盛り上げたのはさすが。先週も書いたけど、今までひなあいでは比較的目立ってなかったメンバーがちゃんと前に出ている。まなふぃに対して若林がこれまでしてなかったようなイジり方をしてもまなふぃはキッチリ返してたし(実はそんなに運動音痴じゃないことが判明してはしゃぐまなふぃ、たしなめる若林、横で爆笑する未来虹)。カゲがカマシをイジられてあっぷあっぷするのも楽しい。あと、上に書いたキャップのガヤの面で、髙橋未来虹が見事にその穴を埋めていたように思えた。細かいガヤがよく拾われているし、何か起きたらそれを再現してカメラによく抜かれてるし、リアクションも全部大きいし、地味かもしれないけど確実に必要な役割をきっちり果たしていて、なんだかすごいなあと感服した。

 運動能力チェック、やっぱり日向坂(1,2期生の運動神経)は異常なのが確認できたけど、にしたもこんなに差が開くか?とも思った。これを見る前に、4期の50m走が体育館や砂のグラウンドでの測定だと、1,2期と比較できないなあと考えていたところちゃんと陸上競技場のタータンでの測定だったから出来るかと思いきや、ここまで集団ごとが開いてるとなかなか信用できない。すべての競技で一位に君臨するかとし 最下位に君臨する齊藤京子

 四期生だけだとうるさかったと言われていた通り、競技シーンでも「なんかこの時この場所の四期生にしかわからないノリがあるんだろうなあ」と思わせるワチャワチャ感があって、この雰囲気がまた日向坂全体を押し上げるのではないかとワクワクする。

 個人的には小西夏菜実のしゃべりが、自分が学生の頃こんな同級生いたな〜と思える雰囲気で、小西がしゃべってるだけで懐かしくてちょっと笑ってしまう。「じゃん負け」って関東の人も言うのかな?

 

 

『ひなちょいseason2』(12/4)


 富田鈴花プレゼンツ「サバゲーを流行らせたい」の2週目。サバイバル術講座を軽くした後、サバゲーの実戦。連射ナーフを「ウィィィィィン」と唸らしながらスタジオど真ん中に鎮座するかとしはさながらジュラシックパークにおけるティラノサウルスのような存在感。ドライバーショットで壁に大穴空けて2期生にドン引きされるかとしが好きなので(参照→


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破壊のプリンセス面目躍如の今回はとても楽しかった。まわりの後輩たちが「怖い……」ってなるなか、ひょいひょいと懐に飛び込んでいく佐々木久美を見ると、きくとしの関係性がわかるような気がして、とっても素敵です。

 

『さくらひなたロッチの伸びしろラジオ』(12/5)

 

 潮紗理菜、高瀬愛奈出演、「なぞかけ」を学ぶ。潮紗理菜が純度100%の潮紗理菜で、誰よりも前のめりなのに中々うまくなぞかけができないようすを聞いてるとなんか元気出る。ひなちょいの「謎解き」回で誰よりも前のめりなのに全然謎を解けなかったのを思い出した。

 日向坂はアイドルなので基本的にみんな番組の企画に対して前向きな姿勢を見せるんだけど、なっちょだけは前のめりさのレベルがひとつ違うというか、「本気(マジ)」さがめちゃくちゃ伝わってくるのがいい。そこに嘘をつけないというか、良くも悪くもメタな視点で物事を捉えてない。「あちこちオードリー」に出演したとき、「春日の顔がプリントされた座布団がボートの座席に敷いてあって、テレビ的には踏むのが正解なのに、どうしても春日に失礼に思えて座れずに泣いた」って話をしてたんだけど、「潮紗理菜」ってそういう感じだよね。(若林が言ってたように)テレビの中でなっちょみたいな常識・良識を持った人は少ないから、それが武器になると。その性質を「ピュア」と言ってしまうのは違う気するけど、どこまでもひたむきで人が良過ぎるところが潮紗理菜にとって唯一無二の魅力なんだな。そのまっすぐさを持って自分以外の日向坂メンバー全員のことをめちゃくちゃ愛してるし、だからこそ他のメンバー全員から愛されている。

 

 

『キョコロヒー』(12/5)


 ヒコロヒーがかつて「付き合っていた」オリジン弁当のおにぎりとの復縁、かが屋によるちょうどいい喫茶店紹介VTRの2本立て。

 京子が言ってた通り本当に別れ話を経た2人の復縁話感があって、絶妙な気まずさがずっと流れてるのが良い。自分も先日の放送を見て近所のオリジンでおにぎりを買った口なので、見ててなんか他人事じゃなかった。

 

 

『ほっとひといき』(12/9)

 

 加藤史帆が8月以来の代打パーソナリティ担当回。最近レコメンを毎週聴いてるからわかるけど、半蔵門に来ただけで露骨に滑舌が悪くなっている。レコメンだと読み慣れてないる文章だからこなせているだけで、本当はこんな感じなのか…?にしてもテレビでもここまでへにょへにょなのは見たことない気がするので、ラジオだと際立つだけなのかも。

 具体的な内容はほとんど思い出せないのだけど口調や話の運びなど全てを含めた"語り口"が南米のドリブルかってくらい独特のリズムと間なので、内容如何にかかわらず反射として笑ってしまう。なんにせよかとしの30分1人喋りの刺激と中毒性はものすごいのだけど、四半期に一回くらいがちょうどいいのかもしれない。またみーぱんがヨルフォージャーで忙しい来年春あたりにお願いします。


その他のテレビ、ラジオ、配信

 

『日向坂46の「ひ」』(12/4)

 齊藤京子、上村ひなの担当回。「何歳で日向坂入ったの?」「中学2年生14歳です」「じゃああんまり青春らしい青春はしてない感じかあ」「そうですねえ、でも私日向坂でめちゃくちゃ青春してるんで」「すごいタレントだ」 この会話がなんかいろいろ詰まっててグッときました。

 

FIFAワールドカップ64』(12/4)

 影山優佳出演、Abemaが影ちゃんを全力で推そうとしてるのが伝わる番組だった。サッカー解説者と同じ分量のスコア予想、インスタで行なっている企画をフィーチャーした企画、内田篤人とのイチャイチャなど、トータルで影山優佳に負っているところが多い構成で、この番組はここで終わりだけど、また来年あたりからAbemaのレギュラーサッカー番組のMCになっても何の不思議もない。

 

『THE TIME,』(12/5)

 安住紳一郎からのフリにワンテンポ遅れて気づく松田好花。少しも寒くないわ


『レコメン』(12/6)

 ベストアーティストの楽屋でかとしが櫻坂田村保乃と会った話から、2人でディズニーに行った話。ほっとひといきのかとし代打回の大ファンとしてはあの2人が仲良い話は聞いててめちゃくちゃ楽しい(ほっとひといきでもその話があった)。そしてこの放送を聴いたあと、まんまとオテンキのりの振り返りトーク見ちゃう。一粒で二度美味しい的な。かとしを褒める茶番をどんどんハイコンテクストにしてほしい。 


『久保史緒里&小坂菜緒 ST生配信』(12/5) 

 セブンティーン最新号で表紙を務める2人の生配信。2人がタメ口でキャッキャキャッキャと楽しげにしており、「小坂に友達がいる」みたいなのがなんだか新鮮だった。そらまあ友達の1人がいても全くおかしく無いんだけど、日向坂の中にいてもあまりはしゃいでいるイメージがないので、なんか知らないけどホッとしたしニコニコしてしまう。


『かまいガチ』(12/7)

 富田鈴花、山口陽世出演。何も知らずにロケをするゲストの前に店員のフリをして現れ、いかにバレずにいられるかを試す企画「店員中」に、ロケゲストとして登場。演出としては店員になりすますずん飯尾がメインだったのでなかなか目立つところはなかったが、珍しい2人のロケでぱるを引っ張る(ダジャレになってしまった)すーじーを見れたのは良かった。