『ハロウィン KILLS』感想(ネタバレあり)

 ジョン・カーペンターによる1978年のスラッシャー映画の金字塔『ハロウィン』を新たなタイムラインで蘇らせた『ハロウィン(2018)』の続編。前作でローリーとその家族を襲ったブギーマンが、今度はハドンフィールドの町全体を恐怖に陥れる。

 

 前作ではローリーとその家族に焦点が比較的絞られていたんだけど、今作ではブギーマンのトラウマを町全体のトラウマとして蘇らせている。人々が「生き残った」からこそ今でも呪われ続けているのだと表明するのは、恐怖へと向き合う意志を感じてよかったのだけど、そこからの群集心理の暴走へのつなげ方はちと粗いと思った。狂信的にブギーマンを殺そうとする行動の危うさや雰囲気は前作のローリーでたっぷり描いたし。「群衆怖い」はけっこう慎重に距離感を定めないと危うい描写だと思うんだけど、この作品では「当事者性」とうまく噛み合ってなかったかなと。

 最終的にブギーマン/マイケル・マイヤーズを、人間ではなく超人的で純粋な悪として提示することで、その決定的な克服を描くのであろう次作につなげる意図はわかった。そして、その克服は単純な暴力ではなしえない、という命題もよくわかる(歴史あるホラーフランチャイズが、「暴力では恐怖を消すことはできない」と宣言する意味は大きいのでは)。
 しかし、「彼は大人の体を持っていて、心は6才なんだ」というセリフなど、彼の「人間性」を匂わせるような演出もいくつかあり、トミー達に殴られているシーンが変に生々しくて「リンチ」のようにも見え、個人的に居心地が悪かったところもあった。


 ということで、全体としてよくできた映画だなとはあまり思わなかったんだけど、前作に引き続きカレン(ジュディ・グリア)やアリソンはすごくかっこいい。マイケルの生家に住んでいるゲイカップルはすごくチャーミングだし、医者の彼女が看護師のコスプレを、看護師の彼氏が医者のコスプレをしているカップルもよかった。車に乗ってる人を襲うときのマイケルの手際の良さなど、本筋以外の部分が結構面白かったりしてトータルではかなり楽しかった。